E

Ellert, Ernst
エラート、エルンスト

 1940年8月7日生まれのポジティブ・ミュータントで、第三勢力の成立後、ペリー・ローダンの初期ミュータント部隊に参加。エラートの特殊能力にはまず、超心理的な予知を行う時点とその時の条件とにおいて、最大の実現確率を持つ未来蓋然性を得る予感力(予知能力)がある。また、遠近未来いずれをも見、起こるべき事件を言い当てることができる。この能力に因み、エラートはテレテンポラリア(Teletemporarier)と呼ばれる。
 エラートの肉体的な人生は長くはなかった。ミュータント部隊の発足直後、予見したカタストロフを阻止するために身を犠牲にし、死亡。そこで彼の第二の超能力が発揮された。死の瞬間、その精神は医学的に死亡した体を去り、何年も時間と空間をさまよった。その間、彼の体は腐敗せず硬直したまま横たわっていた。エラートは新たな能力(パラポーリング(Parapoling))を制御することを覚え、その「時間の始まりから終わりまで」の旅の途上幾度となくその「搬送体(Trägerkörper)」を取り替えていった。異質な生命体の意識の中へ滑り込み、そこから学び取ると同時に可能なかぎりの援助をする。そして2043年、ドルーフ(Druuf)科学者オノト(Onot)の体でテラナーとの再会を果たし、ドルーフ危機打開に大きな役割を果した。その後しばらく、テラの保管室に安置された自分の体に自由にやってきて生き返ることができたが、エラートがポスビ艦のバイオポジトロニクス脳に乗り移った時の大きな精神的負荷によってこれは崩壊してしまった。腐敗の進行した体は深層冷凍を施され霊安室に埋葬された。
 エルンスト・エラートはまたも旅に出た。それは数百年続き、銀河を越えて発展したテラナーたちとのいま一度の再会に至る。現実時に帰還したのは3583年初頭、〈それ〉がエラートに体を与え、ゴルスティ・アシュドン(Gorsty Ashdon)とともにダブルコンセプト(Doppelkonzept)を形成させた時だった。彼は、超知性体のために一連の任務を遂行しなくてはならない一方、アシュドンの意識内容との融合で持ち前の超常能力が消え失せていた。今回もまた、肉体と呼べる体でのエラートの出番は長くはなかった。3587年、彼は〈それ〉の巨大な意識潜在力に融合して超知性体自身にポジティブパワーを供給するミュータントたちの一人に名を連ねた。
 426年は、波瀾万丈のテレテンポラリアにとって新たな章の幕開けとなった。ヴィシュナ(Vishna)の脅威にさらされた人類への援助の道を開くため、〈それ〉はエラートをテラへ派遣、地球投影計画の実現を目指した。エルンスト・エラートはこれにメルク・クーラフェ(Merg Coolafe)の体を使用した。NGZ 427年初頭からエラートは7つの災厄(Plage)への抵抗に大きな役割を果たした。そして《エデンII》(EDEN II)滞在後、エラートの意識体は、テラニアの霊廟にまだ安置されているものの腐敗崩壊の大きく進んだ状態にあるオリジナル体エラートへと合体することになり、これは翌月の要求により早められた。エルンスト・エラートが肉体的な死の脅威にさらされていた期間は2100年だった。彼はまた、ヴィロトロニック・ネットワーク(Virotronische Vernetzung)に潜入し、ストームライダー(Sturmreiter)をヴィシュナに対して蜂起させることに成功した。
 タウレク(Taurec)によってヴィシュナが清められた後、コスモクラート両名は合成ヴィールス体をエラートに贈った。スマートでスキンヘッド、身長1.80m、青味がかって中から輝く皮膚。エルンスト・エラートはこの新しい体の安定度をクリスタルの硬度から生命体の柔軟度まで変化させることができ、さらにヴィールス雲にまで分解できる。この能力によりエラートは以後メタモルファーと呼ばれるようになる。
 NGZ 428年12月、エルンスト・エラートはヴィールスインペリウムの構成物質でできたヴィールス宇宙船で地球を出発。これは《エデンII》にクロノフォシル(Chronofossil)としての用意を整えるためだった。彼がヴィーロノート(Vironauten)となる最初のテラナーになるとは誰も予測できなかった。その事件の後、エルンスト・エラートも再びヴィールス体を失い、代わりに〈至福の地〉(Ort der Erfüllung)で命を失い眠っていたバルコン人(Barkoniden)の体を受け取った。彼はこれで超常能力を失い、一人の「ありきたりの人」となって、〈それ〉から〈アムリンガルの年表〉(Zeittafeln von Amringhar)捜索に派遣された。そこに到達した時、彼は〈それ〉に二度目の融合をした。

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