S

Saedelaere, Alaska
シェーデレーア、アラスカ

 3400年生まれ、すらりとした身長2m、髪は黒である。3428年、シェーデレーアはボントン(Bontong)〜ペルウォール(Peruwall)間の転送接続を利用。このプロセスは時間経過なしのはずだったが、シェーデレーアは4時間もたってやっと現れた。この超空間通行の際、彼は他の何かと衝突した。後にそれはカピン人(Cappin)と判明した。この時からシェーデレーアは、常にプラスティックマスクをつけていなければならなくなった。カピンフラグメントは彼の顔に付着し、それを見た者はみな、一瞬で正気を失う。アラスカ自身はこの顔を「色彩豊かで奇妙によく動く」と表現する。このカピンフラグメントは、いろいろなハイパーエネルギー性現象に激しく反応し、発光し始め、極端な場合には稲妻のような噴出が見られるため、アラスカは「カピン追跡者(Cappinspürer)」とも呼ばれる。
 アラスカ・シェーデレーアは、この能力のため公式に新ミュータント部隊(Neuen Mutantenkorps)(→ミュータント部隊)の一員に名を連ねている。3531年、生物学的年齢131歳の時に細胞活性装置を受け取り、相対的に不死となり、肉体的に老化はしなくなった。
 彼の人生は、よき理解者たる友人たちがいるものの、孤独な者のそれであった。彼は何度もカピンフラグメントをはずすことを試み、それがさらに彼を苦しめるということを繰り返し、ようやくNGZ 426年、《バジス》(BASIS)がフロストルービン(Frostrubin)を抜けて侵攻した際、その組織塊は彼の顔から外れた。彼はついにマスクを取り外せるようになったが、彼の顔は真っ白なロウソクのロウを塗ったようだった。鼻は偽物で貼りつけたかのよう、唇には血の気がなく厚くふくらみ、眼は茶色で生気に満ちている。極端に青ざめた顔色のせいで、アラスカ・シェーデレーアに新しい仇名「蒼白死人(Totenbleiche)」がつけられた。
 人前に出るにはためらいがあった。ひとつには彼の顔のため、ひとつには落ちつかない不安感が、電気の嵐のように体の中を行き来し流れるせいである。カピンフラグメントが完全には消えたわけではないという認識、顔の中でなく今は体の中に、という認識は、シェーデレーアにとって第2のショックだった。フラグメントは体の中でまさに暴れ始め、痛みに近い現象を引き起こし、コントロールはきかなかった。この苦痛のせいだけでなく、シェーデレーアはもとの状態に戻ることを望んだ。彼は、自分が顔の組織塊と共にあってはじめて独立した完全な人格であり、好きにはなれなくてもその異常さを受け入れ尊重するべきだと理解した。シェーデレーアにとって非常に不幸なことに、《バジス》はNGZ 427年5月、無限艦隊第一艦隊ローランドレ(der Einheit Nr.1 der Endlosen Armada, Loolandre)に接近した。この危機の最高潮の際、アラスカは久しぶりにまたキトマ(Kytoma)との精神的接触を持った。彼女は暴れるカピンフラグメントをなだめ、ついに彼女の種族、クエリオン人(Querionen)を再発見したこと、彼らとともに精神体の状態で生きていることを語った。アラスカ・シェーデレーアを解放し一緒に連れていくために、彼女は自身の種族の助けを得て、彼に(あるいは彼のカピンフラグメントに)ペド接触(Pedokontakt)(→ペドトランスファー(Pedotransferieung))をして、一時的にアラスカの新たな故郷となる場所へと連れ去った。彼は網を歩む者(Ganger des Netzes)となり、カピンフラグメント(テスターレ(Testare)と呼ばれる)とは共生体となった。網を歩む間、二人は一つの精神的主体を構成する。アラスカは体を持つため、彼はテスターレを体内に持てない。テスターレは彼から離れ、肉体のない状態になり、肉体投影形状(Körperprojektion Gestalt)を受け取った。二人にとって分離は不快で長い間は耐えることができないものだった。
 アラスカ・シェーデレーアは転送機事故前の身体的状態を回復し、彼はもう蒼白死人ではなくなった。彼の心は平穏を得て、苦悩から解放され、非常に正直で内向的な性格になった。
 細胞活性装置保持者を〈それ〉が召集(NGZ 1169年10月)した後、アラスカ・シェーデレーアはアムリンガルの年表(Zeittafeln von Amringhar)探索に携わった。彼はノクターン人(Nokturnen)の所にあると推測した。

Sestore, Orana
セストレ、オラーナ

 3410年4月16日テラにて、ジェームズ・ボーディロン・オクレア(James Bourdillon O'Clair)(欧州人)とティ・アン・チャン(Ti An Chiang)(中国人)の娘として生まれた。オラーナ・セストレは平均的な背丈ですらりとして良いプロポーション、肌は象牙のような白色、眼はダークブルーで顔は卵型である。深い黒をした髪は長く滑らか。声域はアルト。オラーナ・セストレの性格は、愛らしく、包容力のある女性の一人に数えられる。ナンセンスなことにはよく笑い、大事な話には親身に、ひたむきな粘り強さと、折り合いの心を持ち、しかし愛する人の幸福にも、人類全体の安全にも、死をも恐れぬ献身を示す。最初の結婚はタシ・セストレ博士(Dr. Tashi Sestore)と挙げた。両人の娘アイナーダ(Aynada)はわずか4歳だった。
 オラーナ・セストレはハイパーディム技術者で宙航士。3442年からペリー・ローダンの伴侶となり、3459年に結婚契約。この結婚のためにオラーナ・セストレは、ラール人(Laren)によって恒星信管(Sonnenzünder)としての準備がなされた。非細胞活性装置保持者として、オラーナはローダンの傍で老いていき、やがて突然ひとりで失踪した。捜索はしたが、見つからなかった。3587年にようやく、ローダンはオラーナ・セストレが死んだと推測しうる事件に出会った。死因は自殺と推定された。

Spoodie-Schlacke
スポーディごみ

 ヴァイクヴォスト(Vayquost)銀河系に近い虚空に発見された惑星(Planetoid)。かつてはヴァーンハーガー=ギュンスト(Varnhagher-Ghynnst)宙域のスポーディフィールド(Spoodie-Feld)内にあったが、ソーパン人(Sawpane)がそこから引っ張ってきた。スポーディごみは空洞で、その内部でアトランは、異質な巨大製造実験施設を発見した。それはコスモクラートの委託を受けた者が、ヴァーンハーガー=ギュンストにスポーディフィールドを設置するのに使ったものだった。その他に、空洞には大量の、しかしセト=アポフィス(Seth-Apophis)とその助力者によってプログラムされた、スポーディがあった。ロボットやトラップシステムとの長い格闘の末、アトランはゲジル(Gesil)と巡り会った。彼は、スポーディの山とゲジルを《ソル》にのせた。

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