Xanthen, Bradley von
キサンテン、ブラッドリー・フォン
第2テラ艦隊司令。NGZ425年、艦隊司令部はインドネシア諸島のワイゲオ島にあった。ブラッドリー・フォン・キサンテンはNGZ382年地球生まれ、身長1.80m、ずんぐり体形で少々肥り気味。顔はモンゴル系の顔だち。フォン・キサンテンは黒い髪にダークブルーの瞳、黒っぽい肌。飛び抜けて活動的な彼は、回りで起きることすべてに首を突っ込み、ほとんどあつかましさと髪一重である。フォン・キサンテンは知性も高く、専門は天文学とハイパー物理学。さらに、彼には若干の情動能力(emotionale Fähigkeit)がある。
ブラッドリー・フォン・キサンテンの旗艦は《ラカル・ウールヴァ》(RAKAL WOOLVER)。第2テラ艦隊司令として特にポルライター(Porleyter)捜索で頭角をあらわし、フロストルービン(Frostrubin)前域の作戦、灰色回廊(Grauen Korridor)で消失した地球の捜索作戦にも携わった。
X-DOOR
Xドア
ハンガイ銀河(Galaxis Hangay)の既に物質化した部分の辺縁部にある宙域の名称。そこからNGZ447年、レジナルド・ブル(Reginald Bull)指揮する銀河系探検隊(Galaktische Expeditionskorps)は死の宇宙タルカン(Tarkan)への境界を突破した。Xドアはハンガイ=ハロー(Hangay-Halo)の銀河系側の境界の手前10070光年の位置にある。Xドアから銀河系中枢部までは2054920光年離れている。
Xenoforming
ゼノフォーミング
反逆コスモクラート、ヴィシュナ(Vishna)の7つの災厄(Sieben Plagen)の第4。これはテラフォーミング(Terraforming)、適当な技術の投入により非地球型惑星を人類の居住可能な地球型惑星に創り換えるという概念からの派生である。ヴィシュナの第4の災厄はこれとちょうど逆で、地球が異種知性体によって惑星改造の対象とされることを意味する。
新しい災厄を予告する先触れ効果の後、まずはNGZ427年3月、地球上の植生の変動が観測された。植物は突然枯死し、異質な恐ろしい発育力の植物が取って替わった。この異質植物の言語を絶する繁殖は、明らかにこれらがテラの大気より酸素に富む大気を持つ場所のものであることを意味する。野放しな繁殖はやがて建造物破壊、地上付近の交通途絶、補給困難、果ては本格的な殺人植物の、天然兵器の容赦ない投入による人類の生命の直接的危機にまで至った。
学者らが原因究明に関して初めての功績をあげ、植物界の変異をつかさどるヴィールスが発見された頃、この現象は地球の動物界をも襲っていた。ゼノ植物相(Xenoflora)の傍らにゼノ動物相(Xenofauna)が発生した。まずは繁殖速度の速い動物種、昆虫だった。
ゼノフォーミングのエンジニアは通称ゼノス(Xenos)、突然エンドウマメに似た莢からひとつ、新しい植物らしきものが這い出てくる。意志疎通はエンパシー=テレパシー能力があるにせよ、最初はかなり難しいとされていた。決定的なコンタクトはガルブレイス・デイトン(Galbreith Deighton)と女性エコ=アーキテクト(Öko-Architektin)レイ・ヌルゴワ(Lei Nurgowa)によりようやく成功したが、それはふたりがゼノ植物(Xeno-Pflanze)の果実を食べ、幻覚剤ジュースの効果がふたりの意識に効いたためだった。ゼノスは仰天した。ヴィシュナから彼らは、テラナーは寄生種で、植物を損なう原始的な動物種と言われていたから。それによりゼノスは生命形態を活性化させた。なぜなら、ゼノスにとって自然の生命、特に植物は神聖で、保護すべきものであり、地球の植物を有害生物と誤解した人間から解放しようとしたのである。本当のいきさつを知った彼らは、引き起こしたゼノフォーミングプロセスを即刻停止し、元の地球の植生を可能なかぎり復活させ、テラの利害関係に干渉しないことを約束した。
テラはまたも大きな物的損害を出し、多くの死者も出たが、ヴィシュナの第4の災厄は阻止された。ゼノスはその植物とともに枯死していったが、その原産地は不明のままとなった。
Xenos
ゼノス
ゼノフォーミング(Xenoforming)のエンジニア。ゼノスはおおよそヒューマノイドで、とある異宇宙の創造物。大気のような(ätherisch)外観で身長は1.60mから2.00m。その四肢は壊れてしまいそうな印象を与える。足の指と手の指の間にはライトイエローをした水かきがある。肌は薄いダークグリーンで非常に多孔性、これはゼノスが皮膚呼吸生物なためである。頭はちょうど地球の普通のカリフラワーを思わせる。感覚器官は不詳。
ゼノスの宗教的哲学は、命ある自然から生じるすべてについて述べている。ゼノスは筋金入りの宗教的バイオエンジニアである。故郷の動物相や植物相とはエンパシー=テレパシーベースでコミュニケーションをとる。これが別の知性種族(例えばテラ上の存在)にとり、コンタクト成立を非常に難しくしている。ゼノスはその植物とともに枯死したが、これは彼らにとり悲劇ではなく充足なのである。彼らの宗教では、肉体の死は非常に小さな意味しかない。物質は再びいずこか、彼らがやってきた元の場所へと還流するにすぎない。永遠に巡る自然のサイクルの中で。
Xerasch
ゼラシュ
小銀河トラメーネ(Torramähne)に属する球状星雲ファーロール(Varlohr)の青い巨星。トラメーネはリンバス(Limbus)にある。
Xia-Qü-K'yon
シャ=キュ=キョン
カルタン人(Kartanin)種族の第一構成員で、NGZ445年、力の球形体エスタルトゥ(ESTARTU)で網を歩む者(Gänger des Netzes)により発見された。このカルタン人は大ファミリー、キョンの一人で、ウムバリ型遠距離宇宙船ポーカ(UMBALI-fernraumer POOKA)で、エスタルトゥ内部、特にジオム・ゾム(Siom Som)銀河の権力闘争や社会福祉政策の内情について調査するためにやってきた。シャ=キュ=キョンは当然ながらゾム人たちを怒らせ、惑星トペラズ(Topelaz)に拘留された。そこで彼はペリー・ローダンに出会い、その逃亡を助けた。
X'Phan
クファン
銀河間航行士(Galaktonaut)でパルシン人(Parsynnen)種族出身の民間人。孤独を好む性質のため、普通はとても社交的なパルシン人の中では異質に見える。パルシン人政府である評議会(Rat)の一員として、またウクス=フェルド II (Ux-Förd-II)の境界領域へ向かった第一次宇宙研究探検隊(Raumforscungexpedition)の唯一の生き残りとして、高い名声を保っている。そんな彼でも評議会で否決を受けた。彼が伝道士計画(Project MISSIONAR)に反対した時のことである。これはパルシン人のウクスフェルド思想(Uxförd-Glaube)を近隣銀河に広めようというもの。彼の職務上の経験を活かすため、クファンは乗員の一人として、新造遠距離宇宙船の一隻《伝道士I》(MISSIONAR I)に乗った。ここでも彼は自分の異質さを発揮し、ヒール(Heel)を一頭、家畜として持ち込んだ。この雌のヒールには事故番号3番(Unfall Nummer Drei)と名付けた。これが後に成長し、セト=アポフィス(Seth-Apophis)となった。M82銀河(→セトデポ(Sethdepot))へと入った時に《伝道士I》は危機に陥り、余分な積み荷や機材を処分しなければ助からないという事態になった。この時、船の《福音》も処分対象になった。クファンは彼のヒールを《福音》に載せた。《福音》はまもなく無事に、とある惑星に着陸した。
Xumanth
ズマンス
恒星ミサートン(Mytharton)の計5つの惑星の第2で、ドモルフォン(Dh'morvon)銀河の外縁部にある。
トバーグス(Tbahrgs)の祖先の地であるズマンスは3582年、誰から見ても平和的な天体として登場した。ただ太古には粗野な生命を脅かす環境で、成熟した生命体のみが生き抜ける場所だった。ズマンスの唯一の月はシドンス(Sh'donth)の名で知られる。ズマンスの極地軸の傾きは非常にわずかで、不快な季節変動はない。大きな静かな海はひどい嵐で波立つこともなく、穏やかな南の海の光景を見せる。広い森林は、広大なサバンナと広いがなだらかな山地との間にあって、この星の風景の大半を担っている。
4つの主たる大陸には広い生活空間と、豊かな実りと、済んだ酸素大気の穏やかな気候がある。この惑星の気温はテラの地中海のそれに相当する。空はいつも青い。
ズマンスのものすべては、漠然と、しかしそれとわかるくらいはっきりと、柔らかさや優しさを発している。ここでは、トバーグスのような生命体だけでなく、誰も闘争心をかきたてることはできない。この天体の重力はわずか0.82G、自転周期は42.3時間、つまり長い昼と、長いけれどもマイルドな夜。穏やかな気温は夜の側でも下がることはない。このため、強い嵐が発生することはない。
首都はテ=ホトル(Te-Hotor)といい、半月形の山地の麓の広い平野にある。位置は北緯40度、経度0度。洗練されたその技術の典型例はテ=ホトルの大宇宙港。トバーグスの美の具現化により、正方形や巨大な円形ではなく、細く長く造られた。幅は6km、長さは85kmである。
北端にはこの惑星じゅういたるところに造られているビジネス街のひとつが、南端にはカジノ街のひとつがあって、特別に造られた水門を通って行き来できる。宙港からだいぶ離れた大都会には、おびただしい数の、まっすぐ高くそびえたつ細くきゃしゃな建造物が、ぎっしりと建っている。テラからの訪問者はこの建造物に驚く。そして建物は力学的に安定なのか、雪崩をうって崩れるようなことはないのかと心配する。
3582年、ズマンスはトバーグスの星間国家の中央政府が置かれ、惑星人口としてはこの当時で約60億のトバーグスがいた。