F

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Faddon, Brether
ファドン、ブレザー

 クランドール(Krandhol)公国でセンセーションを巻き起こしたベトシード人(Betschieden)トリオの一人。その後クラン人(Kran)航宙団によって艦隊に徴用された。この時ファドンはチャコール(Chirkool)暦で20歳、身長1.80m、非常に力強い体格、筋肉質だが太りはじめている。黒い瞳に黒い髪、明るく友好的な童顔、ブルロ=ナーベン(Buhrlo-Narben)を2つヘソの左右に持つ。声は少年のように明るい。いつもいくらか興奮気味で、ノリ過ぎる傾向にある。反応もたいてい軽率で大袈裟。とは言え、彼は基本的に朗らかでお人好しの青年である。彼の二人の相棒、スコウティ(Scoutie)とスルホ・マラガン(Surfo Mallagan)と共に、公国の主星クランにたどりつくまで、波乱に富むいくつもの冒険を乗り越えてきた。マラガンがアトランの後任となった時、将来的にはグ公爵(Herzog Gu)を新たなクランドールの預言者(Orakel von Krandhol)にと助言するために、ファドンは彼のもとに留まることを決意した。その後まもなく、彼はスコウティと結婚した。

Fährotbrager
フェーロートブラーガー

 《パン・タウ・ラ》(PAN-THAU-RA)搭載の特殊車両。金属製の多足の蛇で、長さは22m 、高さ2.90m。底面は平らで幅2.60m。フェーロートブラーガーはエネルギー反発フィールド上で動き、分子圧縮鋼の重装甲だが敏捷である。兵器システムは主として多弾頭スパイラル(Multitraf-Spirale)が使用される。この特殊車両の操縦室に隠れてライレ(Laire)は3586年、《パン・タウ・ラ》操縦室を奪回しようとした。

Fairy Queens
フェアリー・クィーン

 ある異宇宙の妖精のような小さな存在で、反逆した女性コスモクラート、ヴィシュナ(Vishna)の七つの災厄(Sieben Plagen)の五つ目と同じ時期にやってきた。
 フェアリー・クィーンは平均の身長が50cm、すらりとしてかわいらしい人間ふうの姿をしている。皮膚の色はソフトな青系、特に目立つのは大きな金色の目で、そのまなざしにはヒュプノ暗示効果がある。彼女らの普段の空気のような外観に反して、その表情はむしろ大まかで未熟な印象を与える。しかし誰もそれを気に入らないなどと思う暇はない。フェアリー・クィーンのヒュプノ効果の視線が、たちどころに強い愛情を呼びさまして、誰もためらわず献身的になる。フェアリー・クィーンは首に乳首の大きさの分泌腺があり、柔らかな白いクモの巣の糸のようなものを作りだす。その糸は衣装の役目を果たす。それはちょうどトビトカゲのような格好に仕立てることもできて、フェアリー・クィーンはそれを頭の上にかかげて、それを使って宙に浮かんで移動することもできる。
 NGZ427年3月15日、数十億のフェアリー・クィーンが降ってきた。灰色回廊(Grauen Korridor)の壁をたやすくすり抜けて、地球の表面へ降り立ったのである。テラナーはもちろん、テラナーでない者も、このきゃしゃで妖精そっくりな生命体を歓迎した。フェアリー・クィーンはヴィシュナの第5の災厄と関係があると、4次元の影、チソン(Chthon)は再三警告したが、注目されることなく放置された。しかも、フェアリー・クィーンの突然の出現の直前に、いつものように光と精神の音響効果によって、新たな災厄が予告されたにもかかわらず、である。たちまちのうちに、全人類の一人に一体ずつフェアリー・クィーンが付き添うようになった。人類はフェアリー・クィーンを、一人一人の性的関心に応じて絶世の美女、アポロンのごとき美男だとそれぞれ思い込み、自分のフェアリー・クィーンに限りない愛を注いだ。数日のうちにフェアリー・クィーンは人類の生命において唯一の真の伴侶となった。昔ながらの結びつきや義務はその意義を完全に失った。フェアリー・クィーンとの感情的な依存関係は中毒と化した。最終段階では、人類は感情平面を自分のフェアリー・クィーンと融合させた。これで体は、文字通り魂が抜け切って死んでしまう。そしてフェアリー・クィーンの物質外皮も同時に崩壊して、融合は完全に終了する。非物質の二重意識体となった人類/フェアリークィーン・デュオは、灰色回廊の壁を突き抜け、長い旅路の末フェアリー・クィーンの故郷世界に達した。そこで、「永遠に踊り遊ぶ」ために。
 故郷惑星でフェアリー・クィーンは、もう太古の昔から、プシオン共生者のために非のうちどころない正当な職務を果たしてきた。それは、そこに生きる知性体と共生関係になり、その意識体に内なる平穏と満足感を誘起する、というものである。テラ住人の異質なメンタリティゆえに、フェアリー・クィーンは、寄生生物の役を演じてしまった。犠牲者は意思を失い、感情は吸い尽くされてしまった。フェアリー・クィーン自身は、純粋に本能に従って行動したのであって、その行動の結果が予測できなかったことは、非難の対象にはならない。
 間もなく、チソンの影以外、フェアリー・クィーンに免疫を持つ者は地球上には一人もいなくなった。天上界の妖精のような存在への、個別の抵抗は全く望みがなかった。しかしようやく、チソンはテラニア精神歴史学協会(Psychohistorischen Instituts Terrania)の管理人、ラウス・リゾヴィヒ(Laus Lisovich)と出会った。リゾヴィヒは、ヒルニ(Hirni)という名の種痘=精神アンドロイドシステムVPAS(Vario-Psychotischen Androiden-System)と一緒に協会から連れ去られた。VPASは合成組織脳を持つ一種のロボットシミュレータで、精神歴史学者が現在時にいながら、長く根絶状態だった神経症および精神病患者の過去の出来事を探り出すことができる。ヒルニには任意の異常状態をプログラムできる。ヒルニの脳から流出した精神流は、その変質性ゆえにフェアリー・クィーンには扱えず、よってヒルニを伴ったリゾヴィヒは、寄生生物の被害には遭わずにすんだ。まずチソンは、ヒルニを使って自由テラナー連盟と宇宙ハンザ同盟の指導的メンバーを数人、各自のフェアリー・クィーンから解放した。解放された者の援助で、チソンはヒルニとプシオン強化プシ・トラスト(PSI-trust)の結合体をひとつ作成した。ヒルニの発する精神障害者のメンタルインパルスが増幅されてテラ上全体に行き渡り、フェアリー・クィーンは逃げるように撤退した。それまでにテラナー2億人が、非物質化されて精神寄生体の故郷世界へと移されていた。最後のフェアリー・クィーンが地球を離れて後、彼らは地球に帰り、おのおのの魂の抜けた体へと戻った。それがまだ生きることのできるものであった場合は、だが。この幸運な結末にもかかわらず、第5の災厄による一連の出来事は、人類の生き様、物質指向といったものに多大な影響と被害をもたらした。

Faktor I - XIII
ファクターI〜XIII

---> 島の王たち(Meister der Insel)

Faktorträger
---> Überlebensspezialisten

Fall Götterdämmerung
神々の黄昏計画

 第三勢力(Dritte Macht)開始年の、異星からの地球侵略の恐怖を偽装した際の名称。

Fall Harmonie
ハーモニー計画

 包括的計画の名称。地球を含む人類世界に〈それ〉の課す連続した試験(並行宇宙(paralleluniversum)、PAD伝染病(PAD-Seuche)、脳オデッセイ(Gehirnodyssee))の後、確実に来るとされる事件の発生で発動する。誰一人として、人類に何が起きるかは予想もつかないが、しかし誰もが、「何か」が起こると予感していた。あの一連の試験に意味がないはずはない。
 ハーモニー計画は、太陽系帝国の計画スタッフによって二次計画と主計画に分けられていた。二次計画は間近に迫った事態の待機期間であり、全ての準備行動を含むものである。主計画は3458年12月20日に発動し、全太陽系がいきなり外の宇宙から切り離された。この状態は3459年1月5日早朝まで続いた。ハーモニー計画の主段階では、地球上から重要人物が皆即刻疎開する。インペリウム・アルファ(Imperium-Alpha)には、絶対必要な要員しか残らない。3459年1月5日朝、最初のラールSVE艦が地球に現れ、10万のSVE艦編隊が銀河系に侵入したとき、太陽系艦隊全艦にも疎開命令が下った。さらにハーモニー計画では、ネーサンの貯蔵データの疎開も予定されていた。この目的で14608の保存ロボット(Konservierungsroboter)が待機していた。最終的には、数十億もの自由主義の人類を、惑星オリンプごとプロヴコン・ファウスト(Provcon-Faust)に移送する計画があった。ラール人がこの計画を挫折させたため、計画の中での最終の段階、すなわち全太陽系の1.18分未来転送だけが残された。実行されたのは3459年7月5日である。しかしながら、救助された人類および重要装置類をプロヴコン・ファウストに運ぶという最終目的は、達成できなかった。

Fall LAURIN
《ローリン》計画

 アンチテンポラル干満フィールド(Antitemporalen Gezeitenfeld)の建設によって敵対的攻撃から太陽系を守るという計画のコード名。第一段階は3430年11月10日に始動した。《ローリン》計画の第二段階は、全太陽系をパラトロンフィールドで包むというもので、第一段階が技術的理由で実施が不可能になって必要になった場合、3434年7 月17日に予定されていた。

Fanghal
---> Haus der Fünf Stufen

FANTASY
《ファンタジー》

 テラ級の重巡(直径200m)、2102年に太陽系帝国で最初に新しいリニア駆動(Linearantrieb)を搭載した艦。この艦で大規模なテストを行なう必要があった。《ファンタジー》の飛行により、アコン人(Akonen)の青い星系が発見された。

Faragha
---> Haus der Fünf Stufen

Farrogs
ファルログ

 ガンヤス人(Ganjasen)の派生種族。名前の由来は提督ファルロ(Farro)であり、彼らは〈原母〉(Urmutter)によってガンヤス人の支配に反抗した。ファルログは20万年のうちに身体的にミュータント化し、淡黄色の象に似た皮膚と完全な禿頭になった。ファルログは惑星ガンヤスの地下区域に住む。ガンヤス人自身により広範囲に平和が保たれていた頃、通商交易も開始された。ファルロ提督は彼らから神として崇められた。3438年には、アルヘガー(Arhaeger)がファルログを統治していた。

Farrusch-Kanone
---> Initial-Punktator

Faust des Kriegers
---> Permit

Favalo-Musik
ファヴァロ音楽

 35世紀に流行した音楽のジャンルで、その根源は20世紀のダダとハプニング芸術の変化したものである。ファヴァロ奏者は、主に金属の物体を投げつけることで和音の異なった調和のある音とリズムを生み出すことに熟達している。ファヴァロ音楽の天才的名人としては、テラナーのククラ・パンポ(Cucula Pampo)が有名。彼の特別の才能と素晴らしい演奏は、このジャンルに多くの新しい刺激を与えた。

F'durnaddle
---> Clansmutter

Federspiel
---> Sternfeuer

Feinjustierung
微調整

---> 五次元フィールドライン重力定数 (Fünf-D-Feldlinien-Gravitationskonstante)

Feinsprecher
ファインスピーカー

 ファイエルダラー(Feyerdaler)の選ばれた者。テルムの女帝(Kaiserin von Therm)の73のコンタクト波にはいることを許されている。特別な教養、品位、完璧な礼儀作法と揃った、典型的な上層階級。彼らの一員となるには、長くうんざりするような準備の後、特別な試験に受かれば良い。厳しい規則は、ファインスピーカーの数があまり多くならないようにするためである。「ファインスピーチ」、つまりファインスピーカーとテルムの女帝が融合状態に入った時の言語は、少なくとも重要な箇所は電気的に加工可能にすることを常に考慮に入れるので、奇妙に聞こえる。

Feldron-Reich
フェルドロン帝国

---> オルドン人(Oldonen)

Felloy
フェロイ

 ヴァイクヴォスト(Vayquost)銀河のジュウマルク星域(Juumarq-Sektor)にある大きな黄色恒星。惑星は14。第4はクラン人(Kranen)の重要な根拠地である。(交易貨物積み替え地および艦船修理ドック)

Fenarol
フェナロル

 いわゆる偽ガンヨ(falschen Ganjo)の本名。フェナロルはタケル人(Takerer)遺伝子工学の成果である。その個体放射は可能な限り正確に真のガンヨであるオヴァロン(Ovaron)と合致している。ここまでは成功したが、フェナロルにはオヴァロンの二つのトリツォム(Tryzome)がなかった。暴露され、3438年にグヴァラシュ(Guvalasch)に殺された。

Feng-Lu
フェング=ル

 カラポン人(Karaponiden)の大提督。NGZ1143年、分散して所有者不明のように宇宙を漂流する《バジス》(BASIS)を、獲得する計画の責任者となった。一年後、彼はカラポン支配圏の重要な一拠点惑星の司令官に就任し、一時的にモトの真珠(Perle Moto)の所有者となった。

Feresh Tovaar
フェレシュ・トヴァール

 ハンター軍団(Jägerbrigade)が銀河系に設置した宇宙要塞。スティギアの網(Stygisches Netz)の主要結節点を監視し、網の無資格利用者を排除するために設置された。NGZ446年1月の時点でこのような要塞は12000箇所。フェレシュ・トヴァール(ソタルク(Sothalk)で「道の守護者」)の識別指標は、例えば、フェレシュ・トヴァール185のように、個別コールサインとして数字が付加される。宇宙要塞はアインシュタイン宇宙に常に停留するが、特殊装置がプシオン網(Psionisches Netz)の平面まで達している。
 フェレシュ・トヴァールはほぼサイコロ状で、一辺は1200m。「サイコロ」の表面にはおびただしい数の発着所、アンテナドーム、放射器といったものがひしめき、要塞を不規則な形状にしている。幹部は主だった銀河系諸種族から集められた5000人近いハンターたち。乗員は全て、ウパニシャド(Upanishad)専門教育を修了していなければならない。司令官は通常、そこの優等生である。宇宙要塞は重武装。標準装備にはエネルプシ駆動(Enerpsi-Antrieb)を備えた特殊なタイプの航宙機200機が含まれる。技術装備にはスティギアの網の交通路をモニターできる装置もある。そして放射器、これは、要塞に隣接する網糸の可搬性を一時的に妨害するもので、これによりその糸にいた航宙機は標準連続体へと吐き出される。さらにフェレシュ・トヴァールは、スティギアの網の制御と安定化の役割も担っている。(微調整は銀河系に滞在する5人のナック(Nakken)が、個別に要塞を巡回しながら行なっている。)
 各要塞にはダシッド空間(Dashid-Raum)がひとつずつ与えられており、そこで乗員は法典分子(Kodexmolukülen)にさらされ、影響されるようになる。
 自由意思で要塞勤務に就いている銀河系住民はごくわずかである。

Ferkun, Tynor
---> INTERSOLAR

Ferrol
フェロル

 ヴェガ(Wega)第8惑星。赤道直径16888km、重力1.4G、自転周期28.33時間、平均気温摂氏39.8度、良好な酸素大気でかなり湿っぽい気候。フェロルには広大な大洋と、大陸には大きな森林地帯がある。首都はトルタ(Thorta)と呼ばれる。「赤い宮殿」に住むトルト(Thort)の統治を受けている。

Ferronen
フェロン人

 惑星フェロル(Ferrol)に住む知的生命体。完全なヒューマノイドで、身長は平均1.60m、ずんぐりして筋骨たくましい。皮膚は淡青色、非常に濃い頭髪は赤褐色。前に突き出た額の下の顔には、とても小さい窪んだ目が二つ、同じく小さい口。フェロン人はおよそ10000年前から宇宙航行を行なっていたが、故郷星系からは外へ出たことはなかった(簡単な光速船のみ)。隣接する二つの惑星に植民地を設けている。フェロン人の政治形態は、共和的要素を持つ王政。統治者、トルト(Thort)は終身制である。
 フェロン人は5次元ベースへ発展できるという考え方はしなかったため、1975年のファーストコンタクト当時、彼らが転送機を使用していたことが、テラナーにはかなり奇異に感じられた。後に、転送機は〈それ〉からの贈り物だったことが判明した。ペリー・ローダンはトプシダー(Topsider)によるヴェガ星域侵入の撃退に成功した。これがテラナーとフェロン人の長い良好な関係の始まりで、後にフェロルで大きな商工会が運営されるようになる。宇宙ハンザ同盟設立後、ここにハンザ商業センター(Hansekontor)が置かれた。フェロン人はガフェク(GAVÖK)の一員である。

Fesselfeld
拘束フィールド

 物体を一定の場所に捕らえておくためのエネルギーフィールド。ノーマルエネルギー拘束フィールド(単層。輪郭投影機により物体を捕獲し、エネルギー的に固定する)、3層フィールド(5次元性中間層がテレポート能力を無効にする)、および重力エネルギー拘束フィールド(強力な重力ゾーンの生成により、宇宙艦のようなものを地上に留める)の3つに分類される。ノーマルエネルギーフィールド及び3層フィールドは、捕らえられた物体の輪郭に正確に合せられ、全く動けなくする。

Festung Titan
要塞タイタン

---> 鋼鉄要塞タイタン(Stahlfestung Titan)

Feuerflieger
火炎飛行体

 惑星ゴシュモス・キャッスル(Goshmos Castle)の飛行能力のある知的生命。
(→ Mucierer)

Feuersturm
ファイヤーストーム

 宇宙規模の殲滅計画の本質の呼称。NGZ448年2月、ペリー・ローダン他タルカン(Tarkan)宇宙で活動するギャラクティカー、およびユアタフ/ベングエル(Juatafu/Benguel)連合艦隊に対し、炎の領主アフ=メテム(Afu-Metem)が仕掛けた。人工的に隣接宇宙から孤立化された直径2光週の球状空間(→ファイヤーストーム領域(Feuersturm-Sektor))の内部は、アフ=メテムによって電磁エネルギーで満たされている。周囲に張りめぐらされたフィールドにより、エネルギーが流出できないため、球状空間内温度は上昇する。3000℃という高温が、ユアタフ/ベングエル連合艦隊の到来時点で既に記録されており、空間は真っ赤なギラギラした光を放っていた。温度が更に上昇するにつれ、光は強さを増し、色も赤からオレンジ、黄色、白、そして最終的には青白くなっていく。
 アフ=メテムがどのようにしてこの現象を起こしたかは、推測するしかない。アフ=メテムのコントロールステーションは、280光年離れたダオ=バン星系(Dao-Ban System) の惑星ヴォンタード(Vontard)にある。明らかに、アフ=メテムのヒートポンプは、電磁エネルギーを周辺宙域から汲み上げて、ファイヤーストーム領域の2光週球状空間へ注いでいる。これにより、隣接する周辺宙域の温度に、ある程度の低下が見られている。温度低下がほんの数度で済んでいるのは、アフ=メテムのヒートポンプにさらされている周辺宙域が、体積、ひいてはエネルギー保有量という点において、ファイヤーストーム領域よりも遥かに大きいためである。
 ヴォンタードにはコントロールエレメントしか存在しないのは確実である。アフ=メテムはヴォンタードからこの現象を操縦している。電磁エネルギーの吸引と輸送を行なっているヒートポンプ装置自体は、ハイパーエネルギー的特質があり、ダオ=バン星系の近隣およびその周辺に広く分散されている。ファイヤーストーム領域内部への熱輸送は、超空間を通じて行なわれる。これは、そうしないと球状空間を包んで孤立化させているエネルギーフィールドが、障害になってしまうためである。
 コスモの力、シ・キトゥ(Kosmischen Macht Si Kitu)の介入により、捕われた者たちは最後の瞬間にこの計画から逃れた。

Feuersturm-Sektor
ファイヤーストーム領域

 ハンガイ銀河(Galaxis Hangay)の中枢ゾーンの外側にある宙域。NGZ448年2月、ペリー・ローダン他タルカン(Tarkan)宇宙で活動するギャラクティカー、およびユアタフ/ベングエル(Juatafu/Benguel)連合艦隊に対して仕掛けられた計画(→ファイヤーストーム(Feuersturm))にちなんで名付けられた。この宙域はハンガイ中枢から8300光年足らずのところにあり、直径2光週の球状時空間(Raumzeitkugel)として出現した。ここは周囲をエネルギー殻で覆われており、中に捕われた宇宙船の技術装置を無力化する。
 ファイヤーストーム領域は、ギャラクティカーとユアタフ/ベングエル人たちを捕えた後、外部からの未知の手段によって、電磁放射を内部全体に蓄積しはじめた。放射は全域で発生しており、宇宙のバックグラウンド放射と物理的には同一の性質があった。ユアタフ/ベングエル艦隊の到来時点で、このファイヤーストーム領域内宇宙は、オレンジレッドのギラギラした光を放っており、これが黄色に、そして最終的に青白い光に変わり、それに応じて温度も劇的な上昇を見せていく。
 さらに、ファイヤーストーム領域内部は未知の影響に支配されており、いかなる種類であろうと、超光速駆動が無効化されていた。ペリー・ローダンとアトランの乗るドリフェル・カプセル(DORIFER-Kapsel)二機だけは例外で、その駆動装置は従来通り稼働した。

Feuertrinker
火飲み

 宇宙航行をする生命体で、おそらく植物からの派生。高さ2.50mの木の切り株そっくりで、平均直径は60cm。皮膚は裂け目が走る樹皮に似ており、色はダークブラウン。切り株の下端には多数の根に似た物があり、それによって火飲みはゆっくりと重々しく移動する。幹の上端には15本から22本の高弾力性の触手がそびえ、その先にはそれぞれ、指のような握るための器官が3本ついている。体表面には脈打って青く光るテニスボール大の瘤状の器官が見られる。
 「火飲み」の名がこの植物の後裔に授けられたのは3587年、アクロバト(Akrobath)が宇宙船の墓場タルキンテルコル(Tarcintherkol)で、発汗金属蒸気(Schweißen entstehende Metalldämpfe)や雷光を中に取り入れていた所を発見したため。火飲みは青い主人(Blautreiber)と共生体の関係にある。

Feyerdaler
ファイエルダラー

 テルムの女帝(Kaiserin von Therm)の補助種族、人間に似た姿形だが太くがっしりして小太りである。平均身長1.60m 、皮膚は真っ黒でつやがあり革のような強さ。全身は完全に無毛。2本のずんぐりした脚と2本の長い筋肉質の腕がある。手足とも6本指。極端に短い首の上に乗った頭は、ほとんど球型だが首の付け根の部分は平坦である。唇は角質で細く、その後ろに強靭な犬歯を持つ肉食獣の歯が並んでいる。鼻は短く団子鼻で曲がっている。鼻孔は皮膚のひだで閉じることができる。耳の代用として、頭の左右に上に向かって微細な織物のような神経繊維がある。目は大きく、楕円形でライトグリーンの炎のごとく輝いている。興奮している時は耐え難いほどギラギラしてくる。
 ファイエルダラーはドモルフォン銀河(Galaxis Dh'morvon)を故郷とする。上層階級はファインスピーカー(Feinsprecher)である。技術段階は太陽系帝国全盛時のテラナーに匹敵する。

Feynchest
ファインチェスト

 グルエルフィン銀河(Galaxis Gruelfin)の黄色い一般的恒星。惑星は3個で、第2がファースト・ラブ(First Love)である。

Fiktivtransmitter
フィクティヴ転送機

 物質転送機では完璧なものに属する。人間や物体を、上位連続体を使って時間経過無し、受信側(相手側ステーション)無しで輸送する。目標座標は送信機で設定する。フィクティヴ転送機が働いて、(構造原型情報とエネルギー・インパルスとなった)輸送物体が到着すると同時に、目標地点に再物質化を起こすエネルギー・フィールドを構築する。
 第三勢力(Dritte Macht)発足の年、人類を優勢な銀河系勢力から守ることができるよう、ペリー・ローダンは〈それ〉からフィクティヴ転送機二機を受け取ったが、その後十数年で失った。ずっと後になって、それらは当初、ケスジャン・ドーム(Dom Kesdschan)の地下の巨大兵器庫にあったものだったことが判明した。

Final-Blockshaltung
最終ブロックスイッチ

 3438年、猫背のヴァスカロ(Vascalo der Krumme)は、このスイッチによって146000体の貯蔵庫(Sammler)のコントロールを引き継ぐことができた。

Finder
ファインダー

 星のメイルストローム(Mahlstrom der Sterne)にある小さな黄色い恒星。計5個の惑星を持ち、その第2惑星はオヴァロンの惑星(Ovarons Planet)である。他の4惑星は人間の生活に適さない。恒星メダリオン(Medaillon)からの距離は3450光年である。

Fingal, Garrique
フィンガル、ガリック

 3402年生まれのテラナーの銀河心理学者で、長身、ガリガリの痩せ型、面長で禿げあがった頭、奥目で口髭をたくわえている。フィンガルの動作にはその無頓着さが強く出ており、声はけたたましく響き渡る。フィンガルは少年時代に大きな事故に遭い、頭に手術を受けた。その時移植された人工神経導体のおかげで、3441年の〈大群〉の到来の際、白痴化放射に襲われずに済んだ。その3年前、買収と詐欺的な相場操作のかどで太陽系艦隊から追放処分をうけ、フィンガルは復讐を志していた。〈大群〉危機の混乱は、この復讐を果すための絶好の機会と思えた。フィンガルは、まだ半分知性の残っているゴロツキどもと、彼の目的のためにプログラムし直したロボット達とを、自分の取り巻き集団にして、〈大群〉危機を生き延びた者全員に対し、専制を唱えようとした。この企ては失敗に終わり、フィンガルは死んだ。

Finisterre
フィニステーレ

 スペクトル型KO Vのオレンジ色の太陽を巡る二つの惑星の外側。M33銀河(→三角座(Triangulum))の外郭辺境宙域に位置し、中枢からは35000光年の距離がある。内側の惑星は直径6000kmの赤熱の岩塊で、大気もなく、名前もない。
 惑星フィニステーレは、地球に似た良好な呼吸可能な酸素大気を持つ。赤道直径11800km、重力0.79G、自転周期20.4時間、日中平均気温摂氏+17度、太陽からの平均距離1億2100万km。1フィニステーレ年は310標準日に相当する。惑星の自転軸は公転面に対し角度にして24度傾いている。
 表面の80%近くは水である。陸地は2つの大陸と無数の小さな島から成っている。約5000万平方kmの面積がある大きい方の大陸は北半球にあり、ほぼ赤道まで達している。小さい方は3500万平方km、南半球にある。その北海岸には半島の形の突出部があって、これも赤道まで達している。二つの大陸は、全長700kmの細い地峡で結ばれている。両極は冠氷で覆われている。この惑星の動物界、植物界とも多種を誇る。最も進化した動物は、猿に似たケッケレク(Kekkerek)である。
 この惑星フィニステーレにPIGが一拠点を設置したのは、M33からやって来るカルタン人(Kartanin)のウムバリ型遠距離宇宙船(UMBALI-fernraumer)の、力の球形体エスタルトゥ(Mächtigkeitsballung ESTARTU)への道が、その比較的近くを通るからだった。拠点としては、北大陸の東海岸、亜熱帯性気候の北緯25度に基地が一つ、地峡の南端、南緯1度に前哨施設が一つ設けられた。前哨施設周辺は熱帯性気候である。二大陸は拠点の住民にアーランド(Aaland)(北)、ベランド(Beland)(南)とそれぞれ呼ばれた。拠点は巨大な監視施設であり、エネルギー供給は基地近くに設置されたハイパートロップ・ザッパー(Hypertrop-Zapfer)(→メタグラヴ駆動(Metagrav-Triebwerk))一基によって保証されていた。フィニステーレには固定配備の航宙可能機体はなく、ただグライダー5機から成る小編隊が、基地と前哨施設との行き来のためにあるに過ぎなかった。
 NGZ447年初頭、この拠点で、さし迫った宇宙規模の事件が解明されようとした時、このPIG基地は突然ハウリ(Hauri)艦の攻撃を受け、破壊された。侵略者の関心はハイパートロップ設備にあった。これはタルカン(Tarkan)への物質輸送という使命を果たすためだった。三隻のハウリ艦は皆、呼集されたPIG艦によって撃墜された。

Firing
ファイアリング

 5つの惑星を持つ小さな黄色い太陽。第3惑星はレプソ(Lepso)。太陽系からは8467光年の距離。

Firmer
ファーマー

 恒星サパ(Sapa)の唯一の惑星。赤道直径13980km、重力1.10G、自転周期23.73時間、濃い酸素を含む原始大気。湯気のたつ熱い海のただ中に大陸があり、未だ強い地殻運動の影響下にある。動植物界も同様に急速な進化途上にあり、奇妙な形態も出現する。この星の、厚い雲に覆われイオン化した大気圏では、方位測定放射が効かない。ファーマーは2401年のあるテラの移住者たちの目的地。この星は居住に適さないと判明したため、移住者達はその衛星コンヤース(Conyers)に入植した。それはファーマーから62万kmの軌道を巡っている。

First Love
ファースト・ラブ

 グルエルフィン銀河(Galaxis Gruelfin)の恒星ファインチェスト(Feynchest)の第2惑星。赤道直径6842km、重力0.63G、自転周期18.36時間、平均気温摂氏+68度。このテラ名「ファースト・ラブ」は、オヴァロン(Ovaron)がガンヨ(Ganjo)の職務としてガンヤス基地視察後、一人の少女と出会い、愛したことに由来する(3438年時点の計算で約25万年前)。

Fischer
フィッシャー

---> グ公爵(Herzog Gu)

Fitu
フィツ

 「人間性のフィツ(das Männchen Fitu)」とは、ある意味で、ジュリアン・ティフラー(Julian Tifflor)の良心のようなもの。疑似固有生命として成長し、一度だけ、束の間ティフラーの前に姿を現わし、永遠の闘争(Permanente Konflikt)の教義を完全に信じ込まぬよう忠告した。

Fitzcarrald, Omle
フィッツカラルド、オムレ

 ドレーク協会(Oraganisation Drake)の一員で、ハイパー通信スペシャリスト。NGZ1093年生まれのテラナーで、身長1.69m、黒い巻毛、鷲鼻、大きな口に目立つ咽仏、明るい声で、ほとんど不自然なくらい肌が白い。フィッツカラルド(ニックネームはフィッツ)はいつも不精髭でだらしなく、たいそう気分屋である。しかし、ドレーク協会のあらゆる点において、全幅の信頼を得ている。彼はコミュニケーション技術に関する限り天才で、どこにも教わらない事柄までよく知っている。
 オムレ・フィッツカラルドは、協会のコミュニケーション問題の全権を持っている。彼はシントロン・コンピュータ(Syntoronische Computer)を使って、ドレーク協会員間の互いに極秘にしておきたいコミュニケーションを考慮した、情報交換のためのコードを開発した。

Flammenwerfer
火炎放射者

 大群偽神イカントミュロス(Schwarmgötzen Y'Kantomyros)の、超能力のひとつにちなんだ名前。彼は3442年には惑星オルビノイク(Orbinoyc)(大群内世界)を支配していた。
 この能力で、イカントミュロスは思った場所に火柱を発生させることができる。

Fleel Jinguisem
---> Jinguisem

Flibustier
海賊

 「最後の海賊」と名乗る宇宙盗賊団のため、3587年の銀河系は物騒な場所だった。ブラッシュ・トボン(Brush Tobbon)とカイナ・シャッテン(Kayna Schatten)に率いられた214人の海賊団は、愛艦《ジャック・ロンドン》(JACK LONDON)を駆って船団、基地、惑星と荒らし回った。自らの名乗りと、船名の誤解が、海賊のロマンのオーラを放つ。実はこの海賊達は、そのようなロマンティックな気分とは関係ない。それどころか、銀河系のあらゆる組織から指名手配を受けている、呵責なき犯罪者である。
 略奪の果てに彼らの存在は不幸な意味を持つこととなった。惑星ジルデル(Xirdell)攻撃失敗の際、逮捕や死を免れたのはわずか7人で、彼らはハープーンのアルマダン(Armadan von Harpoon)の施設に救われた。彼らは、ガルベシュの群れ(Horden von Garbesch)の代理人と間違われて保護されたのだが、このため施設の長期間プログラムが、人類に対して向けられ始めてしまった。7人の海賊を鋳型にした数百万のオービターが生産されたのである。これに関係した海賊の名は以下の通り。ブラッシュ・トボン(Brush Tobbon)、カイナ・シャッテン(Kayna Schatten)、ケルン・”デシベル”・ブラック(Körn "Dezibel" Brack)、ジョスト・テン=ヘミングス(Josto ten Hemings)、マルコン・トレフナー(Markon Treffner)、アクセ(Axe)、パール・”パニカ”・シミュデン(Pearl "Panika" Simudden)。

Flipper, Clerk G
フリッパー、クラーク・G

 US宇宙軍大尉として1971年ペリー・ローダンの月着陸探検の一員に加わる。フリッパーはスターダスト(STARDUST)搭乗宇宙飛行士。この頬のふくらんだ大男の専門分野は数学と物理学である。

Flooth
フロース

 恒星オルボン(Orbon)の第2惑星で、フローズ(Flooths)の故郷。フローズは昆虫から進化した知性体で、緑色のキチン質の甲を持ち、人間とほぼ同じ大きさである。頭蓋は地球のバッタを思わせる。フローズは腕2本、脚3本と、肘関節から3つの足まで張られた翼膜を持つ。2328年この知性体らは、隣の惑星カハロ(Kahalo)へ原始的なロケットで進出しようとした。

Florymonth
フローリーモンス

 ガンヤス(Ganjasen)の形状自在の特殊ロボット。3438年、フローリーモンスがグルエルフィン銀河(Galaxis Gruelfin)に侵入したテラナーの前に初めて現れたとき、彼は身長5mのとてつもなく肥った緑色の皮膚のヒューマノイドの巨人の姿をとっていた。腕や脚は不釣合なほど太く短く、首はほとんど見えない。平たく押しつぶされたような完全に無毛の頭に、魚のような口と1mは突きだすことのできる大きな突出眼が2個。彼の招く陽気な印象にもかかわらず、フローリーモンスはもっぱら慟哭と重圧と悲哀に暮れていた。この時絶え間なく大小様々な装置を盗んだことから、「がらくた漁り」のあだ名がついた。
 神経質そうな振舞いはもちろん、単に本当の使命を隠すため。フローリーモンスは実は約20万年前、オヴァロン(Ovaron)がグルエルフィンから出発する直前に建造させた巨大ロボットの、主要プログラミング構成単位である。彼はガンヨが帰還したら、異議の余地なく本人確認をしなければならない。まず第一には、オヴァロンの多目的アームバンドの外部放射インパルスに基づいて行なわれる。これは、フローリーモンスには、人物の外見を光学的に異議の余地なく解析するのは不可能だからである。

Flottentender
艦隊テンダー

 損傷艦の救護、搬出を行なう太陽系帝国特殊航宙艦。艦隊編成が大きいほど、巨大なテンダー(補給艦)が同行する。修理を要する艦は広い繋留面に繋留されるか、もしくは格納庫に収容される。この補給艦は同時に整備ドックであり、ほぼどんな修理でも可能である。艦の損傷が激しく、適切な修理が不可能な場合は、残骸を人類の銀河系基地へと搬送する。(→《ディノサウルス》(DINOSAURIER))

Foch, Pedrass
フォック、ペドラス

 ペリー・ローダンの個人的な強敵モノス(Monos)の変装として現われたうちの一人。フォックは、NGZ1144年、ドレーク協会(Organisation Drake)の一員、武器システムのチーフ、そして《ブルージェイ》(BLUEJAY)の搭載艇長としてスポットライトを浴びる。1110年生まれのテラナーで、身長1.78m、ずんぐりして肥満がち、短く刈られたほのかなブロンドヘア、ウォーターブルーの目、短い上向きの鼻、青白い肌。ペドラス・フォックはお人好しな印象のひょうきん者、しかし危機的状況においては死を恐れぬ大胆さ。非正統的でしばしば非常識な作戦行動は、彼が負けそうな時ですら、多くの敵をうろたえさせた。
 ペドラス・フォックの正体は、後に明らかとなった。

Föderation Karschal
カルシャル連邦

---> オルドン人(Oldonen)

Föderation Normon
ノルモン連合

 「銀河連合ノルモン」とも。ダブリファ帝国(Imperium Dabrifa)に続いて、3434年の寛容革命(Toleranzrevolution)によって生まれた。

Fogha
フォグハ

 恒星プファド(Pfado)の第三惑星。赤道直径11055km、重力0.92G 、自転周期21.4時間、平均気温摂氏+12.7度、酸素大気、2個の月。3584年、フォグハにあるガフェク(GAVÖK)のステーションで、ムトグマン・セルプ(Mutoghmann Scerp)は、二重コンセプトのエラート/アシュドン(Doppelkonzept Ellert / Ashdon)と、謎の男バルコン(Barkon)に出会った。

Foktor-Pural
フォクター=プラル

 恒星ナミト=プラル(Namit-Pural)の第3惑星。赤道直径13447km 、重力0.97g 、自転周期25.01 時間、平均気温摂氏+23.7度、良好な酸素大気。この魅力的で景観に優れた惑星に、3457年には2800万の人類が植民していた。いわゆる二次移民(Sekundärsiedler)のため、ここのテラ移民者の子孫は、発展の過程では、起源である地球とは完全に無縁だった。3457年2月末、(既にPAD病(PAD-Seuche)の第一段階にあったため)彼らは、約8000のハルト人(Haluter)がこの高度工業化惑星を衝動洗濯の舞台とする、という経験をせねばならなかった。

Fonneher
フォンネーア

 種族における超常現象形態にある一人のティズィデ(Tizide)。フォンネーアは折よくムタンの地(Land Mhuthan)を逃れることができたため、影の力(Graueinfluß) にも屈服せずに済んだ。NGZ428年、彼は深淵の地(Tiefenland)のその辺りの全ての追放者、不満分子、故郷のない人々のための故郷の街、コルツブランク・コロニー(Kolonie Korzbranch)の複数の住民層における思想と行動の指導者である。フォンネーアはムタンの影のロード(Grauen Lord)を黒死の病のように憎み、ムタンを深淵の力(Tiefeneinfluß)から解放することを夢見ている。

Förderkreis STAC
支援サークルSTAC

 エリック・ワイデンバーン(Eric Weidenburn)の組織で、NGZ426年時点でメンバーは20万人を越える。支援サークルSTACは規模も大きく影響力があり、メンバーはそこで自分のわがままな宇宙旅行のイメージを実現するための宇宙航行が可能である。
(--> Weidenburn)

Förderuxen
フェルデルクセン

 パルシン人(Parsynnen)の故郷惑星であり、その星系の名称でもある。星系の状態については、わずかにウクス=フェルドIII銀河(Galaxis Ux-Förd-III)という、おそらく大乙女座星団(großen Virgo-Haufen)の約2000の銀河のひとつの中にあるとしか知られていない。惑星フェルデルクセンについての情報は、NGZ427年3月、《バジス》(BASIS)乗員によって再構成されたところによれば、パルシン人が発展のピークに達したのは、現在から遡ること1100万年の過去であると考えられている。この情報は、非常に良い保存状態の一体のヒール(Heel)、つまりフェルデルクセン土着の雑食生物の調査に基づくものである。その体質から以下のことが推論できる。1100万年前のその惑星は地球に似た場所で、重力は0.8Gから1.2Gと推定される。酸素大気で、年間および気候帯を平均した表面温度は摂氏18度から25度の間である。

Forit
フォリト

 計4つの惑星を持つ小さな赤い太陽。第2惑星はソルテン(Solten)。アルコン(Arkon)からこの星系までの距離は248光年。フォリトはM13球状星団のすぐ外側、外銀河系域の薄い星腕ゾーン(sternarmen Zonen)に位置する。

Formenergie
形成エネルギー

 「可塑性エネルギー」ともいう。決まった形状を形作れるエネルギー。形成エネルギーはペリー・ローダン・シリーズでは古くから知られており、宇宙船の防御スクリーンは形成されたエネルギーに他ならない。第二の例としては、ラールSVE宇宙艦(larischen SVE-Raumschiffe)の船殻、壁、デッキが挙げられる。形成エネルギーの利点は、できた物体をいつでも分解できる点である。そのエネルギーは形成エネルギー中枢に逆流してきて、またすぐに新たな目的に用いることができる。可塑性エネルギーからは、食器から高層住宅まで、どんな種類の実用品も考えうる。技術が完全に近くなると、大局的にはエネルギーの節約になる。使用後捨てる物が無くなり、完璧に再利用されるからである。
 今のところ、可塑性エネルギーの形成には、プロジェクターによるエネルギー供給が必要である。製造された物体が、プロジェクターやバッテリーからのエネルギー供給が止っても、その形態が維持され、安定しているようになって、初めて形成エネルギーの本当の時代が始まると言えよう。

Formungsstrahler
平和転換器

 レムール人(Lemurer)の対ハルト人(Haluter)用の謎の古代兵器。レムールの特殊部隊によってハルト(Halut)に設置された平和転換器のおかげで、レムールの完全な敗戦はもはや避けられなかったものの、生物物理学的な効果がハルト人の代謝系に生じ、徹底した性格改変が起きた。ハルト人は、先祖(けだもの(Bestien))から受け継いだ破壊欲を失い、平和を好むようになった。
 まず間違いなく同じ装置と思われる物が、レムールの心理再生器(Psychogen-Regenerator)として知られている。(--> スコルヒ(Scorch))

Fornax
炉座

 炉座恒星系(Fornax-System)とも呼ぶ。局所銀河群の小銀河で、その銀河群ごと〈それ〉の力の球形体(Mächtigkeitsballung)に属する。炉座銀河は銀河系から約55万光年の距離があり、直径は7000光年、質量は恒星2000万個分に相当。視線速度(銀河系から炉座銀河が遠ざかる速度)は毎秒+40kmである。
 炉座銀河はE型、つまり楕円星雲で、わずかなガス状物質と、高密度の中枢核を持っている。種族IIの古い星、例えば赤色巨星がほとんどを占める。ペリー・ローダンはNGZ429年に初めて炉座銀河に達した。エデンII(EDEN II)の探索途上、彼は生存空間を宇宙空間に置く、ノクターン(Nocturnen)と出会った。惑星上から発展した宇宙航行文明が、炉座銀河には無いに等しいのは、この小銀河の年齢と関係があると考えられる。

Forrils
フォリル

 セイウチに似た知性体で、2405年までマークス(Maahks)に、技術奴隷として、主に宇宙駅システム(Weltraumbahnhöfe)の退避ステーションで奉仕していた。フォリルは4本の極端に短い脚を持ち、歩く時はその4本を4方向に広げて歩く。そのため、セイウチのヒレのようにも見える。2本の腕は長く筋肉が隆々としている。フォリルの生殖は三性から構成され、性別は基本的に体皮の色で決まる(赤皮:母(Mutter)、紫皮:半父(Halbvater)、黄皮:完父(Ganzvater))。性行為に、半父、完父の両方が参加した時のみ受胎ができる。
 フォリルの考え方は、闘争に完全に適合したものである。部族間の定例競技大会で、どの部族長がワザラ(Wazala)の地位に就くかが明らかにされる。優勝したワザラ部族は、3脱皮期(Pelzwechsel-Period)、無制限の権力を、3つの部族宇宙船において持つことになっている。フォリルの脱皮は18日おきである。フォリルの言語はクラーマク語(Kraahmak)。マークスと違うのは、水素でなく酸素呼吸生物であること。フォリルの非凡な技術的才能は、自前の宇宙船の建造の可能性という時点に留まっており、出撃指令のたびごとに、彼らはマークス船に運んでもらう。フォリルの退避ステーション(テラナーは「フォリル・ステーション」と命名)は聖域とされている。生活領域としてフォリルは主に、ステーション外部に繋留された、マークス供給の船300隻を使っている。テラナー、マークス、フォリルの平和条約締結後、この重要な基地の管理と制御には1000体のテラの戦闘ロボットが駐留したが、フォリルの使用のための調整も施された。「権力」、すなわちステーション居留者の決定と統治は、競技大会によって絶えず動いた。

Forril-Station
フォリルステーション

---> フォリル(Forrils)

Forscher der Kaiserin von Therm
---> Douc Langur

Fossil
フォシル

 恒星マリー(Mary)の第2惑星。火星くらいの大きさしかないジャングル惑星で、酸素大気と十分な水資源に恵まれている。遠い昔、フォシルには惑星メカニカ(Mechanica)の住人たちにより秘密基地が建造され、特にローリン(Laurin)の天然のデフレクター能力への対抗手段の開発の可能性が探求されていた。ロボット施設、すなわち中規模のロボット脳と約500体のロボットは2114年時点でも残っていた。フォシルの原住生物は毛皮を特徴とする半知性体で、その特異な呼吸音からテラナーにスヌーフ(Snoofs)と名付けられた。ダックスフンドのような4つ脚と短いしっぽ、丸いアザラシのような体格をしており、地下に掘ったトンネルや空洞に住んでいる。2115年のUSOの設立後、フォシルにUSOスペシャリスト養成のための最初のアカデミーが置かれた。アカデミーは2359年、惑星Ustrac(USTRAC)へ移転した。

FpF-Gerät
FpF装置

 異質エネルギー測定・周波数変換器の略。2436年、ワリンジャー・チームによって開発された、ノーマルトランスフォーム砲(Transformkanone)への付加装置。FpF装置は、パラトロン・バリア(Paratronschirm)の振動にトランスフォーム砲の標的物質化器を同調させ、パラトロン・バリアの陰に隠れた標的へのトランスフォーム砲の有効投入を実現するものである。これにより、一時は進攻してきたドラン(Dolans)を首尾よく撃退できた。

Fracowitz-Systemstaaten
---> Interessenbünde

Fragmentraumschiff
フラグメント船

 ポスビ(Posbi)の航宙艦の標準的タイプ。非対称形のほぼサイコロ形だが、サイコロの表面には無数の突起(タワー、向きの変えられるアンテナ、プラットフォーム、ドーム、球、クレーンなど)がある。フラグメント艦は、最初2112年に銀河系に出現したときには、一辺2000mだった。後にさらに大きな編成でやってきたときは、基本形から違っていた。個々のフラグメント艦の指標は、「BOX」と数字で表される(例:BOX-3371)。艦の武装は第一ラインにあるトランスフォーム砲(ヘフト500巻の挿絵参照)。

Frago
フラゴ

 球状星雲M13から92000光年離れた銀河間の虚空にある、光源も恒星も持たぬ惑星。この直径15000kmの死の惑星は、2112年にはポスビ(Posbi)の工場惑星だった。地上地下問わず惑星じゅうに工場が広がっており、そこにポスビのバイオプラズマの増殖用プラントもあった。

FRANCIS DRAKE
《フランシス・ドレーク》

 自由商人の王ロワ・ダントン(Roi Danton)の旗艦、直径850mの球形艦で乗員は900人。亜光速航行用インパルスエンジン、超光速航行用にカルプ式補正コンバーターのコンパクトタイプが4機(航続距離は1カルプあたり80万光年、総計で320万光年)。武装はインパルス砲、トランスフォーム砲、分子分解砲、麻痺砲で、総火力は太陽系艦隊の戦艦の3倍を誇る。搭載艇はコルベット8隻にスペースジェット。2437年、《フランシス・ドレーク》とその乗員の大部分は、小マゼラン雲への探査作戦で失われた。

Frascati,Terser
フラスカーティ、テルセル

 カルスアル同盟(Carsualschen Bund)の三頭政治家の一人で、ノス・ヴィゲランド(Nos Vigeland)によって奪われた細胞活性装置を2909年から所持(元ソン・オークラ(Son Okura)所持)している。2733年エルトルス(Ertruser)生まれの身長2.5m、肩幅2.14m、体重800kg以上。額から首筋までのくし形に彫られた砂色の髪の房は赤褐色の皮膚と対照をなしている。
 ラール(Laren)と超重族(Überschwere)によってカルスアル同盟が崩壊し、彼は宇宙船《エース》(ASS)を飛行するカジノに改造して占領軍から逃走した。細胞活性装置が心配だったのである。3583年、装置は破壊を免れたが、フラスカーティは死んだ。

Fraternität
兄弟党(プシオニカー(Psioniker)たちの連帯組織)

 スターセン(Starsen)で争い合う勢力のひとつ。兄弟党のメンバーは、例外なく第一ステータス市民(Status-Eins-Bürger)(→ステータス・システム(Status-System))であり、2つのグループ、兄弟組(Fratres)と三人組(Triaden)に分かれている。兄弟組が優勢なのは、ニイ・ヴァル(Ni Val)の種族に属し、超能力に関して、別格の方式と強度を有するためである。
 三人組は、兄弟組の命令に従い、様々なスターセン種族から構成員を募る。彼らの巡検には慮囚の提出が義務化しており、そのときはほぼ必ず3人でやってくる(これが「三人組」と呼ばれる所以)。彼らは常に兄弟組のコントロール下にある。三人組の構成は、超能力のテレキネス、テレパシー、パイロキネス(Pyrokinese)を持つ者ひとりずつである。慮囚はスターセンの地下、洞窟界(die Welt der Kavernen)に追いやられ、そこにある大生命エネルギー貯蔵庫で、本当に文字通り「消費」される(そうして凝り固まった生命エネルギーストックを解凍する必要がある)。わずかに慮囚のごく一部(そこで潜在的超能力を発揮した者たち)が、兄弟党本部へ連れていかれ、プシ・パワーを詰め込まれる。このような方法で三人組は補充され、潜在的能力者は必要なプシ能力を付け焼き刃に後付けされるのである。この本部は独特の形状をしており、その形状からクラーケン(Kraken)と呼ばれている。
 兄弟党の方針は兄弟党主席(Fratervorsteher)が決定する。彼は体をすっかり包みこむ灰色の修道服を常にまとい、ヒューマノイドの姿形に似せていたが、実は影のロード(Grauen Lord)の一人であることが暴かれた。影のロードらは、スターセンを影の力(Graueinfluß)の覆う支配地域の一角へと変貌させようとしている。外見同様その中身も相対的不死性を持つように見える点は、兄弟党主席は、兄弟党とほとんど年中争いの絶えない長老党(Geriokratie)の最長老と似ている。

Freihändler
自由商人(25世紀の自由航行者(Freifahrer))

 ラヴリー・ボシック(Lovely Boscyk)により設立された組織で、テラナーと太陽系帝国の植民惑星人から構成される。目的は、テラ勢力域外におけるスプリンガー(Springer)の銀河通商独占を打破することにある。他の全銀河通商組織との差を強調するため、厳格な階級制と、テラの初期史からもってきた呼称とをつけている。指導者であるラヴリー・ボシックは「皇帝(Kaiser)」である。本拠地星オリンプ(Olymp)の発見者かつ所有者である彼にちなんで、太陽には彼の名がつけられている(ボシックの星)。ボシックの下には「王(König)」ロワ・ダントン(Roi Danton)がいる。その姉、スーザン・ベティ・ローダンは、所有する6つの大銀行に独自の通商船団の建造を援助させ、自ら組織の発足にも参加した。船長は「大公(Fürsten)」、幹部は「貴族(Edelleute)」、そして乗員は単に「農夫(Bauern)」だが、これは蔑視を意味しているわけではない。
 2435年8月時点で、自由商人の通商船団は7500隻余、最新装備で重武装の大部隊となっている。スプリンガーだけは最後まであきらめられず、新参の競争相手に対して総力をあげての防衛戦へともつれこんだが、二勢力の武力衝突は、自由航行者側の一方的勝利で終わった。ボシックとダントン、つまり右腕かつ皇帝後継予定者は、強力に組織を指導した。有能で性格も申し分のない、しかし自由な資産を持たない船長たちは、通商船一式、乗員と十分な設立資本込みで自由に使う代わりに、純益全体の半分を納める。この額は新船建造費と既存船団の維持費にあてられ、残りも基地や営業所の援助と、商売上関係のありそうな全分野の研究活動に使われる。2435年、自由商人は銀河系において非常に強力な経済勢力となっており、ペリー・ローダンもある種の憂慮を余儀なくされていた。太陽系帝国の法律は自由商人を認めていないが、他知性体に対する行為には(小さな過失を除けば)非難の余地はない。原始種族に独自文明構築への第一歩を援助したことも稀ではない。ボシックの死と、ロワ・ダントンの父の側への復帰の後、自由商人組織はアンソン・アーガイリス(Anson Argyris)の新皇帝就任によってほぼ太陽系帝国に併合となったが、その自由と自主独立は失われることはなかった。惑星オリンプはまさに人類の商業の中心地となった。

Freihändler
自由商人(NGZ1000年頃からの抵抗組織)

 ジェフリー・アベル・ワリンジャー(Geoffry Abel Waringer)が、隔絶された銀河系の激動への対応計画の一環として、NGZ1000年に設立した組織。技術的人的条件はすぐに整った。NGZ1143年、組織はロワ・ダントン(Roi Danton)とロナルド・テケナー(Ronald Tekener)に率いられ、成員5000人と、最新式エンジンを装備した様々な建造様式の戦闘宇宙艦11隻ならびに亜光速宇宙戦闘機部隊を有していた。自由商人の拠点星は惑星フェニックス(Phönix)。
 自由商人のほとんどは、かつてサトラング(Satrang)の療養所患者だった。退院した彼はこの抵抗組織に参加、フェニックスに移った。組織は雑多な種族構成で、ほとんどすべての主だった銀河系文明からの参加があった。テフローダー(Tefroder)、カルタン人(Kartanin)、さらにハウリ(Hauri)もいた。ダントンとテケナーの統率法は、種族の絡み合いやメンタリティに合った、全くのいい加減なやり方で、利益ばかりをもたらすわけではない。自由商人の中には、自らこの組織の指導者たらんとする功名心ばかり強い者もいるのである。
 自由商人の服装は色とりどりで異国情緒に富んでいる。作業服と宇宙服は、アクセサリー付きの最新流行、あらゆる種類の異常発育と見紛うような格好で、その裏にはハイパー通信機やマイクロコンピュータから若干の武器に至るまで、高度なミニチュア技術が隠されている。超衝撃的装備のカムフラージュ能力は、種族の雑多さとこれ見よがしの非常識さのため、ほとんど無限である。

Fremdplanungsdeuter
未知思考理解者

 ごくわずかなシュプールと示唆から未知異星人の思考を理解し、その思考方法で考えることができる者。(→トリトレー(Torytrae))

Frequenzseher
周波数探知者

---> ソン・オークラ(Son Okura)

Freyer, Donald
---> INTERSOLAR

Freyt, Michael
フレイト、マイケル

 1972年、US宇宙軍中佐で宇宙飛行士である彼は、月面に漂着したアルコン探査宇宙船の残骸を、ペリー・ローダン帰還の後、調査する任務を帯びていた。調査では、第三勢力(Dritte Macht)制圧手段の発見が見込まれていた。フレイトは大柄で正直者だが、軍人的厳格さのためユーモア感覚に欠ける。ローダンとの出合いの後、彼はUS宇宙軍に辞表を提出、第三勢力の有能な幹部の一人となり、1975年から1980年まで、その長としてローダンとレジナルド・ブルの地球での代理を務めた(ペリー・ローダンのワンダラー(Wanderer)捜索行、細胞シャワー享受と帰還航行時の時間延長)。フレイトはその後も、「長」がテラにいない間、常にこの地位にあった。

Frickel, Nikki
フリッケル、ニッキ

 NGZ374年テラ生まれの女性。ポルライター(Porleyter)の隠れ家捜索でNGZ425年、エピソードを残した。彼女はきつい美人、脳天気で無鉄砲、男性的で、特によく昔の荒っぽい作戦の話をする。相方のナルクトル(Narktor)、ヴィド・ヘルフリッヒ(Wido Helfrich)(→《ダン・ピコット》(DAN PICOT))とともに、ニックネーム「ワイゲオの夜の群れ(Nachtschwärmer von Waigeo)」という艦隊サークルに属し、良くも悪くも有名人である。M3の事件の後は比較的静かに長いこと過ごし、NGZ446年、PIGの長官に就任、カルタン人(Kartanin)の謎をとき、これに大きく貢献した。フリッケルは、当時のギャラクティカーに不信と拒絶を以て対立していたこの種族の、聖域への入口を発見、ウィザード(Wissenden Frauen)(→アルドゥスタールの声(Stimme von Ardustaar))の信頼を勝ち取った初めての、そして唯一のテラナーとなった。ニッキ・フリッケルの有利だった点は、オーグ・アト・タルカン(Oogh at Tarkan)が深い眠りから目覚め、カルタン種族の真実が明らかになったことにあると考えられている。
 PIG長官としてのニッキの旗艦は、由来深いが品のない名前、《ワゲイオ》(WAGEIO)である。NGZ447年初頭、新出撃艦《ソロン》(SORONG)を獲得。外交官的特殊伝令使として、またもやギャラクティカーとカルタン人との間で調停にたった。ハンガイ(Hangay)の転送により標準宇宙(Standarduniversum)に引き起こされた大宇宙規模の災厄の際、ニッキ・フリッケルは停滞空間(Stasisfeld)に695年間捕われ、NGZ1145年、ヴィダー(WIDDER)グループにより活性化された。

Friedenssprecher
平和の声

 アノリー(Anoree)によって広げられたハイパー通信網の名前。これにより銀河系でカンターロ(Cantaro)がその出身を思いだし、その忌まわしい所業を中断せざるをえなくなった。通信網は中枢単位と12の衛星単位からなり、中枢単位の位置は、NGZ1145年の平和の声の活性化の時点で、約19000光年太陽系から離れたグリーノル(Greenol)星域に、12の衛星単位はその半径2000光年の仮想球面上にあった。

Friedensstifter
平和調停者

---> リング人(Linguiden)

Friedenszellen
平和細胞

 コスモクラート(Kosmokraten)の委託を受けて平定された、銀河や銀河の一部で、緩衝地帯として〈それ〉とセト=アポフィス(Seth-Apophis)の力の球形体(Mächtigkeitsballung)の間に設置された。

Froghs
フログ

 惑星トリモン(Tolimon)の知性的現住生物。トリモンにはアラス(Aras)が監視役を務める「銀河系動物園」がある。フログは体長60mのヘビ状生物で、多足類のように動く。体の前方3分の1は起き上がれる。丸い昆虫に似た頭部のすぐ下には、たくましい腕が2本、その先端には物をつかむ器官がついている。

Frolinger, Mart
フローリンガー、マート

---> 《ダン・ピコット》(DAN PICOT)

Frood, Leonard
フルード、レオナルド

 NGZ398年生まれのテラナー、30歳の時に「レオの幼稚園」として有名な子供の村の創始者かつ指導者となる。彼の預かる約100人の子供たちの中にはスリマフォ(Srimavo)がいた。彼女はここで、ゲジル(Gesil)に対する重大な敗北から回復する時間と平穏を得た。シガ人から小さなエルトルス人まで、いろいろな子供たちは、フルードのことを愛情を込めて「レオ」と呼び、彼の中に何がしか父の影を見るのである。レオナルド・フルードは、髪はブロンド、性格は少年のよう。彼の側には若いアン・ピアジェ(Anne Piaget)と、幼児心理学をプログラムされた特殊ロボット約20体がいる。この幼稚園はヒマラヤ北部に位置し、国費援助を受けている。フルードはまず、灰色回廊(Grauen Korridor)における動乱事件で精神的被害を受けた子供たちを世話した。
 NGZ429年、人類にあこがれ(Fernweh)が生じた時、フルードとアン・ピアジェは最初のヴィーロノート(Vironauten)になった。彼らのヴィールス船には、由来深き《レオの幼稚園》の名がつけられた。

Frostrubin
フロストルービン

 第一の究極の謎(Ultimaten Frage)の対象で、ペリー・ローダンがNGZ424年に知ったその文面は「フロストルービンとは何か」。これは5次元の、通常宇宙から進入可能な構造物の一種で、全宇宙を行き渡るモラル・コード(Moralischen Kode)の二重螺旋に属する、ひとつのコスモヌクレオチド(Kosmonukleotid)、正確な名前はトリークレ9(TRIICLE-9)。NGZ426年、ペリー・ローダンはフロストルービンに到達した時には、当然ながらその状態からして、できることはほとんどなかった。それは回転する虚無(Rotierendes Nichts)であり、超知性体セト=アポフィス(Seth-Apophis)が奪ってきた数十億にのぼる意識や意識断片の貯蔵庫(→デポ(DEPOT))である。
 灰色の太古(Grauen Vorzeit)の時代にコスモクラートがモラル・コードを設置してこのかた、トリークレ9は二重螺旋の支配域として、ベハイニエン(Behaynien)周辺の銀河群の宙域を管轄し、深淵(Tiefe)に埋め込まれていた。場所は深淵の地(Tiefeland)の創造の山(Berg der Schöpfung)。ある時、コスモクラートのテュリク(Tyrik)が現われ、オルドーバン(Ordoban)をトリークレ9の巨大監視艦隊の創始者兼統率者にスカウトした。しかしながらオルドーバンではトリークレ9の自発的突然変異と二重螺旋からの消失を阻止できなかった。その後、彼はその艦隊で数百万年もの長きにわたるトリークレ9捜索行を手掛け、その間艦隊は増えに増え、いつしか無限艦隊(Endlosse Armada)の名が定着した。
 一方トリークレ9は200〜300万年間、当時発展途上にあったネガティヴな超知性体セト=アポフィスに利用されていた。この時のフロストルービンは、プシオンエネルギーに満ちた気泡状の構造物で、光速の何百万倍もの速度で宇宙を疾走していた。この時すでに膨大な数の異種意識を持っていたセト=アポフィスは、それらをプシオン場の内部に移し、それ以後もさらに移し続けた。
 トリークレ9はこれに反応して、その内部にある種の根本的変化を起こした。形状が固まり、直径2000光年、厚さ100光年の円盤状になった。それまではある直線コースをとっていたが、宇宙の中を突発的にめちゃくちゃに動くようになった。それまでいた場所から消えては、100万光年離れた場所に実体化した。この計算不能なジャンプも、セト=アポフィスには当面ネガティヴな効果はなかった。なぜならセト=アポフィスは、自分の意識デポ(Bewußtseinsdepot)にはジェット放射(Jet-Strahl)を使って、いつでも到達できたから。さらに、トリークレ9は手の届くエネルギーは何でも吸収するようになった。恒星から熱を奪い、燃えガラの固まりに変えてしまう。トリークレ9はフロストルービン(氷の紅玉)となったのである。フロストルービンは星間物質の運動エネルギーを吸収し、塵雲やガス雲を、凍りつき結晶化した温度、ほぼ絶対零度の物質に変えて残す。その姿を現すところ、フロストルービンは恐ろしい破壊を引き起こす。吸収した膨大なエネルギーを爆発の形で放出するのだが、その規模は超新星100個分におよぶ。フロストルービン自身はそれに巻きこまれることはない。セト=アポフィスの乗っ取りが起きて以来、およそ20から30、このような爆発があり、その都度宇宙のその一画に測定不能の損害を出し、住人を奪った。爆発発生中に紅の光の洪水が放射されることに加え、新たに備わった能力、襲った物体を凍結凝固させることとから、その名「氷の紅玉」がつけられた。このような爆発は3つほど、テラの天文学者らによって、すでに宇宙航行時代開始以前に観測されている。当時は非常に大きな超新星爆発とされていた。
――アンドロメダ銀河、アンドロメダ座S星、1885年観測
――NGC5253、ケンタウルス座Z星、距離1500万光年、1895年観測
――同じくNGC5253、SN1972e星、1972年観測
 約220万年前、アンドロメダ(220万光年テラから離れているので観測までにちょうど220万年かかった)の大爆発の直後、ポルライター(Porleyter)がフロストルービンのコースを統計的手法で見積もり、近く縮退物質でできた寿命の尽きたミニ銀河と衝突することを割り出した。彼らはこのミニ銀河に、大きな付加的角運動量を付与することに成功。フロストルービンはこの死の銀河と接触した時に、莫大な量の純粋な回転エネルギーを取り込み、その消化しにくさを実証した。この使えないエネルギーが受容力限界に達するまで、フロストルービンは繋留される。以来、フロストルービンは銀河系中心からノーガン=トゥア銀河系(Galaxis Norgan-Tur)の方向に約3000万光年の位置にある。フロストルービン円盤の内部は回転エネルギーに満ち、虚空で目に見える光を放っている。フロストルービンの勢力範囲に入った物体はすべて、回転力で引き裂かれる。この現象により、フロストルービンは回転する虚無とも呼ばれる。その回りには矮小銀河の残骸が取り巻いている。この位置に縛りつけている効果は、ポルライターのアンカー(Anker der Porleyter)と呼ばれる。
 フロストルービンの内部へは、アインシュタイン宇宙から、ある技術的手段(→シゼル(SYZZEL))で進入することができるが、そこでは因果関係が完全に欠如している。従来艦の意図的操作は不可能。ただし、セト=アポフィスが異種意識の貯蔵をM82銀河(→セトデポ(Sethdepot))から行なったため、M82とフロストルービン内部には親和性がある。そこにいわゆる「最小抵抗の道」がある。無限艦隊と銀河系艦隊(Galaktische Flotte)は、フロストルービン突入の後、そこを通ってM82に再実体化した。
 フロストルービンは、無限艦隊諸種族にとり、何百万年たとうが、知識が失われようが、宗教的にもイデオロギー的にも崇拝の対象である。彼らの言語(→無限艦隊用語(Armadaslang))におけるその名はトリークレ9。ペリー・ローダンが無限艦隊プリンス、ナホール(Armadaprinz Nachor)とNGZ427年、無限艦隊の操縦法を獲得し、クロノフォシル(Chronofossilien)に向けて航行を設定したとき、ポルライターのアンカーは、パラリ、パラリとほどけてきて、同時にセト=アポフィスの操作も打ち消され、最後のクロノフォシルが活性化された後、モラル・コードの二重螺旋の昔の位置に、トリークレ9はジャンプ1回で戻ることができた(NGZ429年9月)。この位置は、ベハイニエン銀河から2.8光年、銀河系から約2億光年離れている。

Frostrubin Relais
フロストルービン中継システム

 NGZ426年2月に《バジス》(BASIS)によって設置された全長約3000万光年のハイパー無線中継ラインで、無限艦隊が出現するまで、テラとフロストルービン(Frostrubin)宙域で作戦中のテラ艦船との間で、報告のための交信を成立させていた。これはそれまでで最長の、テラの技術のみで完成させた、宇宙の通信の橋ということになる。フロストルービン中継システムは数多くの独立中継局から構成されるが、それらは《バジス》によってフロストルービン・テラ間に等間隔に設置された。中継局数を最小限ですませるため、高品質を要求しない純粋な音声中継のみとされ、比較的狭い周波数帯域だけを用いる。このため、通信線の速度はわずか160kbaudである。

Froud-Crofton, Powee
フラウド=クロフトン、ポウィー

 放射線医師。小柄、行動的、情熱的、短髪。フラウド=クロフトンはインケロニウム板(Ynkelonium)を肋骨の代わりにしており、おまけに話すときに笛のような音が出る人工肺をつけている。3441年、彼は〈大群〉に捕えられ、生物物理学的無線ステーションに中継器として組み込まれた。

Frua
フルア

 小さな緑の恒星で、計4つの惑星を持ち、その第3はアフツォト(Afzot)。アコン(Akon)星系からの距離は20.7光年。

Fryer
フライヤー

 無限艦隊(Endlosse Armada)の種族で、いくつかの相異なる種類からなる。ローランドレの前庭(Vorhof der Loolandre)の100のクラン(Clans)のひとつ。いわば小さな青白い小びとで、エルフを思わせる。ヒューマノイドではなく、鳥に似た祖先から派生した。
 フライヤーの防衛部隊(クラン防衛隊 (Clansschützer) )は、半球状の防護装甲を着こんだ不定形生命体からなる。フライヤーの主要兵器は「壕鼻 (Bunkernase) 」、ロボットに動物の意識をくっつけた、格別に攻撃欲が旺盛なものである。形成エネルギー (Formenergie) でできた頑丈な綱を射ちまくり、侵入者をその船ごと繭状のものでくるんで、動けなくしてしまう。
 フライヤーのクラン首領(Clanskopf)は、NGZ427年ではグライデン=ホームズ(Gryden-Holmes)である。

Fuehrl
フュール

 ナウパウム銀河のオレンジ色の恒星で、計5つの惑星を持ち、その第3はホーントル(Horntol)。ヤーンザー(Yaanzar)からの距離は12709光年。

Fulgen, Yart
フルゲン、ヤート

 抵抗組織ヴィダー(WIDDER)の情報収集専門エージェント。NGZ1115年、隔離惑星ダオルメイン(Ghettowelt Daormeyn)生まれだが、プロフォス人(Prophoser)の血をひく。フルゲンは身長1.82m、スリムで弱々しい。やせこけた顔、黒いてらてらした、櫛でぴったりなでつけたような髪。灰色の瞳、細い鼻、鋭い分析的思考力。フルゲンは卑屈で臆病で、典型的な太鼓持ちに見える。しかしながら全くの正反対、いつもその激しい気性を抑えるのに苦労している。
 NGZ1144年初頭までに、追放刑になっていた二人のプロフォス人、社会学者と統計学者の息子であるヤート・フルゲンは、カンターロ(Cantaro)の艦隊基地の外交官の地位まで昇格した。それまで彼は表向き自分の職務に忠実に見えた。それ以後彼は偽装をとき、ヴィダー思想の熱烈な擁護者となり、反体制の仮借なき闘士となった。

Fünf-D-Feldlinien-Gravitationskonstante
五次元フィールドライン重力定数

 測定単位メガカルプ(Megakalup)の自然定数で、この変動が知性に影響を及ぼす。3440年11月29日、〈大群〉が出現したとき、定数は852メガカルプ変化し、ほとんど全ての知性生物が白痴化された。3441年11月、いわゆる微調整(Feinjustierung)が起きた。132.658ミリカルプ上方修正され、銀河系住民の白痴化は緩和され、ホモ・スペリオル(Homo Superior)は急死した。この操作は通常宇宙でのみ効果がある。白痴化した宇宙船乗員は、リニア空間にいる間は完全な知性を取り戻す。もちろん四次元時空連続体に復帰するまでである。3443年6月8日16時24分、操作は終った。

Fünfhundert-Jahres-Plan
500年計画

 ローリン計画(Fall LAURIN)の準備のために、30世紀末より行なわれた計画と行動の総称。原因は憂慮すべき銀河系の政治状況であった。500年計画中、特に艦隊基地、補給倉庫、監視ステーションが銀河系のさまざまな惑星に秘密のうちに置かれた。

Fünf-Planeten-Anlage
五惑星系施設

---> 新モラガン・ポルド(Neu-Moragan-Pordh)

Funken
閃光

 ルーテ(Rute)にある恒星と惑星の呼称。大閃光(Großfunken)(恒星)と単閃光(einfachen Funken)(惑星、月、小惑星)に区別される。恒星は例外なく強烈な五次元放射星である。全閃光に共通するのは、遥かな昔、黒き瞳(Samtauge)につながるブラックホール18個のひとつに墜落し、ダッカルディム・パルーン(Dakkardim Ballons)の内部に再出現した点である。ルーテの恒星と惑星の比率は50:1である。3580年、ルーテには63個の惑星があった。

Funkschild
無線シールド

 クロノパルス・ウォール(Chronopuls-Wall)とヴィールス・ウォール(Viren-Wall)に続く第三の(そして最も内側の)銀河系バリア。百年戦争(Hundertjährigen Krieg)の間カンターロ(Cantaro)が設置した。物体には障害とならず、銀河系の内外間のハイパー無線波のみを遮蔽する。他の2つの壁と違い、無線シールドは維持にも整備にも特別な基地は用いない。ほとんど銀河系の中枢ブラックホールの天然現象なのである。カンターロはこの巨大ブラックホールの潜在的能力を利用し、現時点では未知の方法を用いて内部に「点火」した。それによってハローが形成され、イオン球のようなものがハイパー無線波を反射もしくは吸収するのである。

Fürst des Feuers
炎の領主

---> アフ=メテム(Afu-Metem)

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